神戸・旧居留地
−近代洋風建築が建ち並ぶ洗練された町並み
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現在でも当時の区画がほとんどそのまま残っていますが、建物としては15番館が残る程度で、多くは大正から昭和の造船ラッシュのときに海運会社、商社、銀行などが建てたものです。その建物も第二次世界大戦では、地区の70%ほどが被災し破壊されます。戦後も、東京へ本社を移転する会社が増えたり、神戸の中心が三宮に移ったりしたため、活気が次第に失われます。

ところが昭和50年代末、ここに残る建物が再評価されるようになってから商業地として活気を取り戻し始めます。そのころから、現在にまで続くこの町の固有性を獲得し始めることになるわけですが、1995年、阪神・淡路大震災によって、上記の15番館や海岸ビルなどが解体を余儀なくされる被害を受けます。私が意識してこの町を見るようになったのは震災後なので、以前の町並みをよく知りませんが、復興の甲斐あって、冒頭に書いたように他では得ることの出来ないよさを有しています。


古い建物が、新しいブランドやレストランと融合して魅力的なものになり、人々を惹きつけているこの街は、古いものの魅力と変化することの意味について考えさせてくれます。こういう古いビルヂング(という表記のビルが多いのです)は、現代の四角くてピカピカで、背の高い最近のビルよりは非効率で不便なのかも知れませんが、内部はすごく天井が高くて開放的ですし、外観は綺麗で、驚くほど丁寧な作りです。感覚的な部分においては、こういうビルの方がよほど魅力的ですし、美的であると私は思います。

Photo 4
旧居留地15番館
Photo 5
15番館と神戸市立博物館
Photo 6
市立博物館付近の町並み
Date: 2002/03/25
2002/07/07
Camera: Nikon New FM2
Lenses: Ai Nikkor 20mm F2.8S
Ai Nikkor 50mm F1.2S