中之島
−実用と美観を兼ね備えた、得難い町並み
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写真を始めてからいろいろな趣ある町並みを見てきましたが、淀屋橋から日銀(補足)、大阪市役所、そして先述の図書館や中央公会堂(補足)のあたりは、何度も行きたくなるくらいに魅力的な町並みだと思います。


中之島は名前のとおり島で、正確に言えば堂島川と土佐堀川に挟まれた中州です。船場、北浜といった大坂の経済的中心に近く、また、海と川ともに面しているという立地条件のよさから各藩がここに蔵屋敷を置きました。そのため、全国から米などの物資が集まり、商品経済が発達し、冒頭で書いたように「天下の台所」と呼ばれます。

しかし、江戸時代後期になると近畿地方と比較して劣っていた江戸周辺の生産力も向上を見せ、各地で地域市場が発達するようになったため、大坂に物資を集めて江戸に送る必要がなくなってしまいました。さらに明治維新後は蔵屋敷の廃止などで深刻な打撃を受けます。しかも淀川を使った船舶による輸送が鉄道の発達によって衰退し、中之島自体もキタとミナミの発展におされて衰退していきます。

それでどうなったかというと、公園、学校(大阪帝国大学など)、飲食店、金融、物流会社などが多く存在し、西洋建築が多く建てられます。すなわち経済の街としてでなく、文化的な街として発展を遂げたわけです。

これは悪いことじゃなくて、この景観は、経済的中心から文教地区へと変化したからこそ得られたものだと思います。経済の中心では、古い建物の趣よりは新しい建物の機能性、ゆったりとした町並みよりは無機質であっても無駄のない町並みがよしとされますから。

Photo 5
中之島倶楽部(公会堂内)
Photo 6
日本銀行大阪支店(中之島通越しに)
Photo 7
堂島川と船
Photo 8
突堤(堂島川)
Dates: 2002/08/16,2002/11/16
2003/01/07,2004/01/13
2004/01/28
Cameras: OLYMPUS OM-1
Canon EOS 50E
Lenses: G.ZUIKO AUTO-W 35mm F2.8
EF 28-80mm F3.5-5.6 USM